第5回「現代の歌人を読む会」を開催しました(前田康子さん・江戸雪さん)
こんにちは、短歌人の太田青磁です。
6月26日の日曜日に第5回現代の歌人を読む会を開催しました。
今回もはじめてご参加くださった方、久しぶりにいらしてくださった方、続けていらしてくださった方に囲まれて、短歌を鑑賞することができました。
第4回の開催記録は追って記載しなくてはと思っているのですが
まずは記憶の残っている方からです。
この日は、前田康子さんと江戸雪さんの歌を読みました。
まずは前田康子さん
「あなたは」というとき 折りたたまれた君をひろげるように言う
前転ゆ起き上がるときいつも世界が変わった目をする少女は
一首目はあなたと君と呼びかけの言葉の選び方、破調のどこにフォーカスしてよいのか。君はあたかも折りたたまれていて、「あなたは」という言葉によって、少しずつ広げられて社会的人格を持つのだろうか。
二首目は前転ゆの「ゆ」は、田子の浦ゆのような○○から、という意味なのかなと。三句の「いつも」の字足らずや最後になって出てくる「少女は」が、やはり不安定な少女期の持つ危うさを感じます。
端正に描かれているようで、実は危うい欠落のモチーフがあるのではないか。そんな話で盛り上がりました。
続けて江戸雪さん
いじめには原因はないと友が言うのの字のロールケーキわけつつ
闘いのたのしみ知らずこいびとの部屋のチャイムを鍵先で押す
一首目は柔らかなロールケーキの描写に目がいきますが、原因(げんいん)、と友が(とともが)、のの字の(ののじの)、わけつつ、と同じ文字が近い位置に配置されていることが、押し戻さるようなリズムのためを生んでいます。主体はほんとうにそう言ってしまっていいのか、という葛藤があるのではないか、ともとれるように感じました。
二首名は、鍵は合鍵なのかという疑問にぶつかります。なぜ鍵を使わずにチャイムを鳴らしたのか。もしかするとこいびとは来られちゃまずいことをしているのかも、ということと、あえてチャイムを鳴らすという行動で先制攻撃に出ているのかも、という推測から若干不穏を覚悟しているようにも感じられました。
やはり、ひとりではうたに対するアプローチの角度が決まってしまい、なかなか違う方向からうたを眺めることができずにいるのですが、よい仲間に巡り合い、秀歌を楽しむ時間が過ごせるのは代えがたい経験です。
次回は、7/24(日)10時~12時で辰巳泰子さんと紀野恵さんを取り上げます。
ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、下記までお気軽にご連絡ください。
【第6回 現代の歌人を読む会】 7/24(日)10:00〜(定員10名) 『現代の歌人140』辰巳泰子さんと紀野恵さんの歌を読みます。日曜日のひととき、ゆったりと短歌を読みあう時間を過ごしませんか。 ↓詳細・お申込はこちらから
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