第1回「現代の歌人を読む会」を開催しました(後編:斉藤斎藤さん)
こんにちは、短歌人の太田青磁です。
開催から少し日が開いてしまいましたが、年末の12月26日に第1回「現代の歌人を読む会」を開催しました。
小高賢さんの『現代の歌人140』の読書会をやりたいと思いインターネットで呼びかけたところ、興味を持ってくださった方が複数いらして開催にこぎつけることができました。
続いて斉藤斎藤さん。
こちらもひとり3首くらいずつ選んでもらって、順番に一首ずつ読んでもらいました。その後、同じ歌を選んだ方や、いいなと思ってくれた方に話をつなげていく感じで、読みあいました。
当日、上がった歌からいくつか。
ふとんの上でおかゆをすするあと何度なおる病にかかれるだろう
なおる病は、なおらない病に対するアンチテーゼなのか。孤独なのか、それとも誰かに作ってもらったおかゆなのか読みが分かれた。あと何度と数詞化によって看病されることの居心地のよさのようなものも感じ取れる。
じいさん動いてる歩道あるいてる子犬のような酸素をつれて
どこで切れるのかがわかりにくいながら、「いてる」のリフレインと「つれて」の言いさしで定型の韻律としてまとまっている叙景歌。上の句は、じいさんが「動く歩道」を歩いていると読めるのだが、酸素をつれて、は肺が弱いのかなんとも不思議な光景。
火葬場にて、故人を偲びながらとりとめのない話を続けている残された人の物語なのかもしれない。一生のうちで、「あいしてる」ときもあれば、「閑話休題」なときをも繰り返して一生を終えたという境涯詠とも読める。結句が生みだす余韻に浸ってしまう。
リトルリーグのエースのように振りかぶって外角高めに妻子を捨てる
妻子を捨てるは事実なのか比喩なのか、背負うものがないというようにも読める。リトルリーグのエースは地元では絶対的なヒーローだったんだろうとか、外角高めは思いっきり投げた感じが出てるよねとか、少年の気持ちを思い出させてくれる話になってしまいました。
いよいよ明日、1/23(土)13:00〜16:00に第2回「現代の歌人を読む会」を開催します。
今回のテーマは横山未来子さんと大松達知さんです。
天気が心配ですが、歌を読んで思ったり感じたりしたことをなごやかにお話できたらと思っています。
↓申込はこちらから
https://mailform.mface.jp/frms/seijiota/ou8ljzze9mc7
当日参加も大歓迎です!
- 作者: 小高賢
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2009/10/22
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