太田青磁の日記

There's no 'if' in life… こんにちは、短歌人の太田青磁です。

「鍋ラボ in the 詩ty」に参加しました

こんにちは、短歌人の太田青磁です。

ゆとり世代歌人YUTRICKを主宰し、斬新な企画と新しい短歌を生みだしているなべとびすこさんが上京し、歌会を開くということで「鍋ラボ in the 詩ty」に参加しました。

nabelab00.hatenablog.com

前半は題詠「歌」の歌会です。詠草をホワイトボードに書いてもらい互いの歌を読みあいました。私の出した歌です。

いにしえの歌人の札を並べおきコンマ2秒で畳をはらう(太田青磁)

百人一首の歌はなかなか歌にならずに、何度か推敲していたのですが、「ちはやふる」のイメージが伝わったみたいでうれしかったです。

 今回が「歌会はじめて」という方もいらっしゃいましたが、歌を楽しむことを重視した歌会にしたい、というなべとびすこさんの進め方もあり、なごやかに、でも言いたいと思ったことが言える、あたたかい歌会でした。

破調の歌もいくつかあったのですが、歌意を聞きあう時間があり、それぞれの歌に込めた思いを聞くことができました。知らない歌(定番卒業ソング)を教わったり、「普段は破調では詠まないけどなべとびすこさんの歌会だから攻めてみた」という意見が聞けたことも興味深く感じました。

後半は「ミソヒトサジ」というカードゲームで遊びました。「ミソヒトサジ」は5音の札と7音の札を組み合わせて短歌を作るという、偶然短歌を彷彿させるようなカードゲームです。遊び方とそのときに生まれた歌をいくつか。

①ポーカーのように5枚の手札を交換しながら短歌を作る

胃が痛いメロンを食べるその手つきその瞳さえ噛み応えあり

メロンくらいしか食べられない胃の痛さを、「その」のリフレインと限定の「さえ」を用いてたたみ掛けるよう自虐的に歌っている。

②7音カードで下の句の2枚決めておき、配られた手札で上の句を作る

猜疑心なくなるまではパーリナイそうと決まればSNS

主体は何かを押し殺すように一夜の享楽を味わったのであろう。高すぎるテンションのまま投稿したSNSの記事にペーソスを感じる。

③二句目を固定し、各自配られた手札から一枚ずつ出し、短歌を合作する

消費税なんと切ない燃えるゴミ巡り巡ってカクテルになれ 

長く使えるものよりも安かろう悪かろうを選んでしまう消費社会を覚めた目線で観察しているのだろうか。ゴミが集められ処分場で混ざりゆく様子を命令形で強く言い切っている。

 シュールでちょっとポエジーがある歌が次々に生まれ、お互いにいいと思う歌を選びあうのも楽しめる時間でした。

参加者が自由に書き込める白紙カードがあって、オリジナルなパーツを入れて楽しめるのもゲームの面白いところです。

 

歌会や読書会はもちろん楽しいのですが、カードゲームで普段使わない部分を刺激するのも楽しい経験となりました。

私も「ミソヒトサジ」を入手しましたので、これで遊んでみたいという人はぜひお声がけください。

なべとびすこさん、参加された皆さま、どうもありがとうございました。

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