「いまとここと現代短歌」第二部 座談会〈短歌と現代〉他
座談会のパネリストは石川美南さん、加藤治郎さん、木下龍也さん、永井祐さん、服部真里子さん、穂村弘さん
【石川美南さん】
現代短歌はいつからはじまるか、自分が読みはじめた頃に活躍されていた一線の歌人、斎藤史さんや近藤芳美さん、自分が読んでテンションが上がる歌を選んだ
【加藤治郎さん】
今年の短歌研究は遠野真さん、読者がググって分かることを前提とした世界観、中家さんのうずく、まるは、まる、月、信号機という縁語の技法を現代短歌として生かしている、現代は短歌の作り手と短歌を作ったことのない読者の垣根は限りなく下がっている
【木下龍也さん】
今いちばん熱い結社「なんたる星」から十首。加賀田優子さんのひらがなの歌は歌人ではない人にも共感される、加藤治郎さんのゑや仙波龍英さんは歌人向けのレトリック、現代短歌とは自分のうた、自信を持って自分の歌を紹介すればよい、歌人だけでなく、小説などの活字を日常としている層に作品を届けたい
【永井祐さん】
ドロー・フォー返し返し、繰り返しの持つリズム感、比喩の使い方や温度感、穂村さんを読んで歌をはじめた、加藤治郎さん、俵万智さんが意識の中の現代短歌、革新自体を目的とすると歌がやせていく、変化はしているが進化という意識はない
【服部真里子さん】
同時代に生まれた歌が現代短歌、自分が選んだ選歌がいちばん、時代はあまり関係ないと思う、宝川踊さんの蜂蜜の歌の混入という言葉を使っているのは岡野大嗣さんの骨なしチキンの本歌取りと読んだ、恋をしているさんの歌は、短歌の韻律があってこそ響く
【穂村弘さん】
2015年の現代短歌は掴みきれないので80年代の現代短歌を選んだ、口語短歌が当たり前となっている、自分の中の現代短歌は同世代の歌、現代短歌は近代短歌と何が違うのか、『手紙魔まみ』は近代短歌に連なる文脈を重んじる読者と、短歌をほとんど読んだことがない読者というふたつの異なる対象に向けて作品を提示した
ラインナップに上がっている方の紹介に続けて、書肆侃侃房代表田島さんへのインタビュー
【書肆侃侃房田島さん】
現代詩と短歌はどう違うのか、詩は行間に書かれていないことを読み合うのに対して、短歌は定型の韻律のなかで、複数の人が評を論じ合うことが成立する世界
Amazonのデータは売れている、売れていないをはっきりと数値化される、詩歌を比較検討して選べる場所は少ない、紀伊國屋新宿本店、葉ね文庫、九州でも少しずつ増えてきているが、全国でも少数にとどまるのが実態である
歌集一冊一冊では置いてもらうのが難しくても、シリーズ展開することにより、棚を作ってもらえるのではないかという挑戦がある