太田青磁の日記

There's no 'if' in life… こんにちは、短歌人の太田青磁です。

短歌人2017年8月号「20代・30代会員競詠」より

こんにちは、短歌人の太田青磁です。

歌人8月号は毎年、20代・30代の特集があります。わたしは30代の終わりで短歌をはじめたため、一度しか参加できませんでしたが、題をつけて連作を出す経験は得がたいものがあるなと思います。欄頭から3首を。

無防備な笑みを浮かべているような一重の薔薇の花片にふれる
/黒崎聡美「薔薇園」

一重の薔薇はどこか危うさを感じさせる、そんな薔薇の表情を無防備な笑みとたとえて、存在を確かめるようにそっとふれる動きがスローモーションで浮かぶようだ。

 こわれてから捨てるキッチンタイマーのうさぎの顔のかたちしずかな
/大平千賀「梅雨入り」

結句のしずかなに、キッチンタイマーとしての機能を失ったときにはじめて見せる無垢なうさぎの顔を捉えてしまう主体の躊躇のような感情の動きがみえる。

わたくしを食ひ散らかして安らかに子は腹満ちて目を閉ぢている
/桃生苑子「母なる音」

一読よく分かる母になる喜びの歌。乳児に対して、わたくしを食ひ散らかして、と大仰に入るところがどこかわが子を対等に見ているようでもあって微笑ましい。

今回の特集と連動して、三角点(エッセイ欄)は特集号参加者の方々で構成されていました。また、現代短歌から好きな歌を一首紹介というのは、いい歌バトルとも連動していたのかもしれません。

誌面全体が少しずつリフレッシュしているような感じです。 わたし自身もいい流れに乗っていきたいなと思います。