太田青磁の日記

There's no 'if' in life… こんにちは、短歌人の太田青磁です。

第18代うたの人に参加しました。

こんにちは、短歌人の太田青磁です。
11月の「うたの日」で花束を取ることができ、7カ月ぶり三度目の「うたの人」に参加しました。
http://utanohi.everyday.jp/hito/page.php?id=18

今回の題は「数」でした。
すう、かず、かぞえると考えていたので、具体的な数字や数値がたくさんあって、投票始まってちょっとびっくりしました。初回は特選なし、前回は特選ひとつだったので何とか複数の特選を取りたいと思い歌を作りました。

 眠れない夜を数える眠らない夜を数える朝がまた来る

なんと、特選を4つも集めて14席と大健闘しました。

睡眠障害を詠んだのですが、「眠れない夜を数える」をどうやって着地させるかが難しくて、読み手に委ねてしまったなあと感じながら締め切りとなってしまいました。

眠れない夜の苦しさや、朦朧としたまま迎える朝のやるせなさが、雰囲気だけでも伝わっていたとしたらうれしいです。一方で結句が予定調和という評もいくつかいただき、迷っている部分は見透かされてしまうのだと改めて感じました。

 眠れない夜を数える
 眠らない夜を数える
 朝がまた来る

今回悩んだのは、三行詩にするかどうか。表現が過剰かなと思い一行で出したのですが、対句をきちんと提示するにはこちらのほうがよかったのかもしれません。

さて、今回のうたの人は繰り上げ出場のナタカさんでした。

△7の背をちょっと反らして書いてみるこれがあなたの書いている7

名は体をあらわすといいますが、文字にもその人のひととなりが出るのかもしれませんね。あなたの書くちょっと反らせた7の字に似せて書くことで、あなたの持つ空気感に近づいていきたいという想いが伝わってきます。

7の文字を初句と結句に大胆に織り込んで、少し甘酸っぱい感じが多くの方の共感を集めました。私は並選を入れたのですが、官能的な想いやプラトニックさなどの評もあり、読み手のイメージを拡げさせてくれる歌でした。

私が特選を入れたのは、塾カレーさんの歌でした。

◎数百の雨粒がいま死にました私の傘に叩きつけられ

一読して力強いインパクトのある歌だと感じました。結句の言いさしは、やや流れている印象も受けますが、数百の雨粒の一粒一粒が命を持った生命体に見立てられていて、傘のイメージの持つイメージは盾というか守りの印象であるのですが、それをガラリと武器に変える発想に驚きました。

巧いかと言われると荒っぽさもあり、特選を迷ったのですが、個人的には心を揺さぶられる歌に惹かれる思いもありました。

インターネットの歌会は得点ありきなところがあるという意見は概ね的を射ているのだと思いますが、リアルな歌会では得られない双方向の活発な評のやりとりがあるのが、「うたの人」の魅力だと思います。すべての歌に評を寄せてくださる方も増えており、評を読んで自分の書いたものと比べるのも、読みの深さを感じる機会なのかなと思います。

ほかの歌も含めてコメントを寄せています。
http://utanohi.everyday.jp/hito/page.php?id=18

よかったらぜひ覗いてみてください。
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