太田青磁の日記

There's no 'if' in life… こんにちは、短歌人の太田青磁です。

短歌人

口語短歌のリズム感

短歌四拍子説(別宮貞則『日本語のリズム』)では、五七五七七は八八八八八の時間的長さを持つという。口語短歌においてこの音符はすべて八分音符である必要はなく、一六分音符や三連符に分けたり、タイやスラーで作られるフレージングを意識した韻律がある…

短歌人2019年1月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。今年最初の月例作品です。 ハロウィーン明けたらやたら光りだすそれぞれの駅のイルミネーション外苑に等間隔にならびたる銀杏幾本かは黄を帯びて青山に霊園ありてたまさかなれど高祖父の墓参りたりみんな飲んでるビールを…

2018年11月短歌人東京歌会に参加しました。

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 11月25日(日)に短歌人東京歌会に参加しました。この日は文学フリマ東京と日程が重なっていたので、後半のミニシンポジウムだけでいいかなと思っていたのですが、文フリ会場で会った方から詠草少なめらしい、ということ…

短歌人2018年12月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。今月の月詠です。 すっぱりと斜め四十五度に切られた月をしばし見ている 台風一過の運河のみずは鈍くひかり水羊羹のようにゆれおり 夕空にまだらに浮かぶうろこ雲 こわいと言われればこわい気がする 自習室が閉まる十時は…

短歌人2018年11月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。今月の月詠です。 モニターの石原さとみで涼をとる乗車率200%の朝鈍行を乗りついでゆく乗るごとに車両みじかく町はのどかに雨雲レーダー真紅に染まるセルにいて折りたたみ傘はただの棒なりマヨネーズ多めで頼む平和園の冷…

短歌人2018年10月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 明け方にあるいた川沿いの道をもう一度あるく夕まぐれ この夏はなぜかやたらとぼんやりしていて、全国集会に出した一首を送るのが精いっぱいでした。どこの川なのかは分かる人には分かるかもしれません…

2018年7月短歌人東京歌会とビブリオバトルに参加しました。

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 池袋のいつもの会場が工事中につき、芸術劇場のリハ室を借りて歌会です。こういう部屋は、オーケストラの練習で使っていたことが多く、セッティングにも何だか張り切ってしまうのですが、研究会のプレゼンターの役割もあ…

短歌人2018年8月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 御殿山の坂をのぼりて現代美術コレクションに浸るひととき洋館の階段ゆるく曲線を描く手すりの手ざわり滑らか前後左右を白きタイルに囲まれてわれの思考は四角くなりぬ鳴りやまぬ電話のベルを聞いてい…

短歌人2018年6月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 一市民を意識したしと春雨の議事堂前にわれしばし立つ 自意識が邪魔をしておりコールには静かな怒りの念のみ送る <ここからは出れません>とう看板のら抜きにあらわる出来合いの感じ 「水色のヘアアクセ…

短歌人2018年5月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 髪を切りわすれた雨の日の前髪が湿度をまして視界をふさぐ 阪神の話題でやたら盛りあがっているうどん屋の隅に相席を得る タンパクを取るべきだという友がいて釜肉うどんに玉子をつける 肉をよけつつう…

短歌人3月東京歌会に参加しました

こんにちは、短歌人の太田青磁です。東京歌会に参加しました。今日の詠草は40首でした。少し遅れていったのですが、ちょうど自分の歌の評に間にあってよかったです。複数の方の読みを聞くといろいろな発見がありました。一方で歌の読みを自分の経験にだけ基…

短歌人2018年3月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 フィルムに色うかびゆく二十秒 おのれの顔におののくむすめ 初売りのロールケーキを二本買い子のなきいもうとの家へと集う 家の話とクルマの話は注意深く避けつつ薄きハイボール舐める 母だけには歌を…

短歌人2018年2月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 音本番入(はい)りますの声にヒロインはヒールを脱いで告白を受く 医者・歯医者・医者・医者・ミーシャ 聞きおればいしゃばかりなるMISIAの家族 「主役1」と呼ばれる権利を勝ち取って吾子はひとりで…

短歌人2018年1月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 ひと駅をあるく ひと駅たびをする ひと駅ぶんのわたしがわかる点滅が近づいてきて点滅はロードバイクとともに去りゆくチョークにて〈ここで夜景をお楽しみください〉狭きわが家のベランダなれど子のつ…

短歌人2017年12月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 短歌人2017年12月号 会員2(太田青磁) 青いひとのいのちのゲージは徐々に減り点滅ののち 赤いひと 海ほたる東京湾にぬっと出でて次から次へ車を吐けり 地下鉄が地上の橋をわたるときやけにあかるい叫…

短歌人2017年11月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 短歌人2017年11月号 会員2(太田青磁) 台風の目ははっきりと透明でそこだけ都市の名前がわかる 塾・病院・歌会・塾・塾 平日の夜にひとりの時間作れず 壁を剥がれた地下鉄駅は昭和なり徐々に貼られて…

作品月評8月号に掲載されました(短歌人2017年10月号)

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 8月号に掲載された短歌の評をいただきました。 短歌人2017年10月号 作品月評8月号会員2欄 斉藤斎藤評 納会は納涼船なり桟橋に職責順に社員居ならべり(太田青磁) 大きくはない船に積み込まれ、勤務時間よりも窮屈そうな…

短歌人夏季全国集会(2017)に参加しました。(2)

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 引き続き、夏季集会の話題をいくつか。 「いい歌バトル@宇都宮」では、台本のない進行はやはり盛り上がるものだなあと思いました。運営については、外部の方にいらしていただくのであれば、受付は準備しましょうとか、…

短歌人夏季全国集会(2017)に参加しました。

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 8月5日・6日の2日間、短歌人の夏季全国集会が宇都宮で開催されました。 初日は「いい歌バトル」と称した、参加者(短歌人所属歌人10名+ゲスト宇都宮敦さん、服部真里子さん)がここ一年に出版・販売された歌集、総合誌…

短歌人2017年8月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 短歌人2017年8月号 会員2(太田青磁) 納会は納涼船なり桟橋に職責順に社員居ならべり 舳先にて橋をくぐりぬ その橋の横顔しばし見つめていたり スマートフォンの激しく割れた画面見るわれのからだは…

書評『WAR IS OVER! 百首』南輝子歌集

ふめば肉体につたはるうおんうおん桜花ふみしむ父踏むやうにしやりしやりと舎利骨片の音させてこよひ喪の戸へ銀河ふりしく 南輝子の第四歌集は、一冊を通じて亡き父への挽歌であり、平和をこいねがう鎮魂歌で構成されている。桜や骨といった失われた命を彷彿…

短歌人東京歌会にて研究会発表をしました。

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 7/9(日)の東京歌会に参加しました。詠草は56首とけっこう多めでしたが、活発に歌の批評ができました。今回は月詠のを選をお願いしている方に批評してもらうことができて、視点や構成などの基本的な要素をもっと意識し…

第16回髙瀬賞受賞作「光のあわい」浪江まき子さん

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 短歌人7月号は髙瀬賞(短歌人新人賞)の発表がありました。 今年の受賞作「光のあわい」は一首一首に独自の観察眼があり、自分の視野と自分を俯瞰的に捉える視野の重なりをうまく描きとった歌が多く、都市に生きる生活者…

短歌人2017年7月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 短歌人2017年7月号 会員2(太田青磁) パイプ椅子をたたむ早さを競いおり管弦楽団員なるわれは ぬばたまの月なき夜の川面見ゆラフマニノフの二番のピアノ 藤棚が風になびくに目あげればスカイツリーは…

短歌人2017年6月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 短歌人2017年6月号 会員2(太田青磁) 花からはこんな感じに見えるのか自撮り棒なる宴会の景 塾終えし子とプール終えし妻との夜桜をみるわずかな寄り道 あてどなく仕事のわれを鎮めんとバリスタの手の…

書評『黄色いボート』原田彩加歌集

書肆侃侃房新鋭短歌シリーズ第三期として出版された著者の第一歌集。やわらかな感性と対象への温かくも細やかな観察眼がひかる。 スプーンを水切りかごに投げる音ひびき続ける夜のファミレス 現代歌人協会主催全国短歌大会で朝日新聞社賞を受賞した一首。都…

短歌人2017年5月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 短歌人2017年5月号 会員2(太田青磁) 東京駅の同じホームの掲示板「勝田」「高崎」「宇都宮」見ゆ 大宮を越えて北への車窓にはどこまでもどこまでも一軒家と畑 おとめ座のスピカ輝く春の夜 われの内…

書評『人魚』染野太朗歌集

「まひる野」に所属する著者の『あの日の海』に続く五年をまとめた第二歌集。見返しの紙質やプラスチックの帯にもこだわりがみえる。 ネルボンという眠剤を処方され妻と笑いし冬もあったな盂蘭盆は父の酒量のいや増して焼酎に氷鳴りやまぬなり この歌集の大…

短歌人4月東京歌会に参加しました。

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 毎週、何かしらのイベントに足を運んでいるものの、気がつくとレポートをため込んでしまい反省の日々です。 4月9日に短歌人4月東京歌会に参加しました。 この日も多くの方が集まり50首を超える歌を活気を持って評をし…

短歌人2017年4月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。 今月の月詠です。 短歌人2017年4月号 会員2(太田青磁) 雨の日は一回休みというサイン(心の声はいつもただしい)不安にて眠れぬ夜は辛けれど起こされる妻はさらに辛かりどうして早く寝ようとしないとまっとうな怒りの…